https://naritaetuko.jp成田悦子の翻訳テキストとちょっとしたこと

ブログ アーカイブ

2012年7月14日土曜日

A Wounded Deer — leaps highest165/ Emily Dickinson翻訳

A wounded deer leaps highest,
I've heard the hunter tell ;
'T is but the ecstasy of death,
And then the brake is still.
怪我をした鹿は、非常に高く飛び跳ねる
猟師が話しているのを、私は耳にした事がある
流血のエクスタシー-
と、直ぐ抑制装置が静止する

The smitten rock that gushes,
The trampled steel that springs :
A cheek is always redder
Just where the hectic stings !
感動的な心情の吐露
弾ける踏み躙られた頑なな心
頬が絶えず高潮する
正(まさ)しく熱狂が駆り立てる限り!

Mirth is the mail of anguish,
In which it cautions arm,
Lest anybody spy the blood
And "You're hurt" exclaim !
快楽は苦悶の鎧
即ち慎み深い武装
誰かが生血(いきち)を探り出さない様に
ますます「貴女は傷付いているの」と声を大にする



exclaimは、「大声を出す」と訳すと、この詩を台無しにします。
実際に大声を上げたり、叫ぶのではありません。
「私」「鹿」を傷付けるのは、猟師であり、"You're hurt"「貴女は傷付いているの」と言う私と私以外です。
"You're hurt"「貴女は傷付いているの」と声を大にして言うのは、「傷付いている私」に何も言わせないため。

14:20 2012/07/14土曜日